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北マリアナ諸島歴史文化博物館 (旧南洋庁サイパン医院) (Northern Marianas Islands Museum of History and Culture; NMI
Museum of History and Culture) において興味を引いたのは、「サクマン・Sakman」と呼ばれる帆掛けカヌー (「飛走するプラウ船
flying proa」とも称される) の模型である。片舷のみに張り出す外舷浮材 (single outrigger) と、ラティーン・セール
(lateen sail・大三角帆) をもつのを特徴とする。チャモロ族の伝統的なカヌー様式とされる。
画像は、展示されている帆走訓練用のカヌーである。セーリング(帆走・航走)の基礎を子供たちに教えるのに、このような小さな
アウトリガー・カヌー (outrigger canoes) が用いられた。
セーリングの基礎は子供たちが学ぶべき事柄のほんの一部に過ぎない。風、水、浪、うねりの方向、星座、外洋航海にかかわる
その他の複雑な技法について学習しなくてはならない。解説パネルには次のように記されている。
「ヨーロッパ人がミクロネシアに足を踏み入れるまで、カロリン人の航海者に知られていた世界は、西にあってはパラオ、
ヤップ、東にあってはポナペであった。北にあってはサイパン、グアムで、南においてはNuquoro and Kapingamarangiまでであった。
彼らが帆走した方面としては、東西および南においてはこれらの地域を越えた場所をも含んでいたが、しかしそれらは意図的な
航海の外側にあった。そして現実の場所というよりも架空の地であった。
伝統的な航海者らは、星や惑星の研究に多くの年月をついやして、天体航法の複雑な技法を用いた。星やその動きを教授する
ために開発され用いられた基本的なツールの一つは、スター・コンパスまたはサイド・レアルコンパスである。
航海者はまた、そのコースを指図するのに、風や海流、リーフ、うねりの方向、高さ、頻度、魚や鳥の知識を用いた。マップや
チャートを用いず、航海者のすべての知識は記憶の中に収められていた。この記憶は、何年にもわたる航海者の訓練学習において
なされるチャント(詠唱)の助けをかりて受け継がれて来た。
航海者の学習過程は大変若い年代から始められた。そして、見習いの航海者は、マスター航海者という尊敬される地位を授かるまでには、
その指導の下で何年も過ごさねばならなかった。伝統的な航法はミクロネシアにおいては今日でも用いられている。」
[参考] prau, prahu, prao, proa: プラウ船 [インドネシア地方の快走帆艇].
flying: 飛ぶように速い、飛走する、疾走の.
[2012.5.13-16 北マリアナ連邦・サイパン島にて][拡大画像: x24519.jpg]
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