展示パネルによると、江戸時代後期に江戸で活動していた天文測器師・大野弥三郎規周が1858年(安政5年)に製作した
六分儀である。現在航海士らが使用する六分儀の構造と基本的には変わらないものである。揺れ動く船上においても太陽や星などの
高度を測定するものであり、幕末の日本では地上測量にも用いられた。
明治以来の近現代においては、六分儀は一層精巧なものが日本に導入され、製造もされたが、近世の江戸時代に日本人が製作
したとされる六分儀は極めて珍しいものであるといえる。大野弥三郎をはじめ江戸時代の天文測器師らが西欧の六分儀を
見よう見まねで、あるいは全く独創的に製作していたのか。それらの系譜をたどってみることに大いに関心が掻き立てられる。
[画像撮影日時:2023年6月9日/場所:熊本博物館][拡大画像: x29244.jpg]