画像1・2は千葉・九十九里浜の「道の駅・九十九里」の中に併設される「いわし資料館」に展示されるイワシの〆粕を製造する
ための圧搾装置「キリン」と製造関連容器である。展示説明パネルには概略次のように記される。
〆粕(しめかす)とは煮詰めたイワシを搾って油を抜いたものである。イワシを煮る釜は「粕焚釜(かすだきがま)」と呼ばれた。煮たイワシから
油を搾り出すという圧搾工程は最初は人力であったが、後に梃(てこ)を利用した「挟み」や、画像のような「キリン」(圧搾機)を
使用するようになった。油が搾り出された〆粕(画像4)は乾燥させてから出荷された。
干鰯(ほしか)(画像3)の製造工程についてのパネル説明によれば、干鰯は砂浜にイワシを撒いて天日乾燥させた(イメージとしては画像5
の写真のとおり)。乾燥時間は春夏では10~15日、秋冬で25~30日も必要であった。その間雨が降れは覆いをかけ、
降雨がさらに続くと小屋に一時保管するなどの手間暇を要した。イワシに油分が多い場合には、砂に穴を掘って2日ほど埋めた後に
乾燥させた。これを「油抜き」と称したと記されている。
パネルによれば、江戸時代中期の元禄時代のこと、九十九里浜での干鰯や〆粕のイワシ加工品は花形の特産商品であった。綿花をはじめ、
藍(あい)や米などの農作向けに速効性のある肥料として、遠く西日本各地からの需要も高かった。商品は金銭で売買されたことから
「金肥(きんぴ)」とも称されたと記されている。
[撮影年月日:2023.02.15/場所: 千葉県山武郡九十九里町小関2347-98の「道の駅・九十九里」の中に「いわし資料館」
(いわしの交流センター展示室)]
1. [拡大画像: x29232.jpg]
2. [拡大画像: x29234.jpg]
5. [拡大画像: x29233.jpg]
|