Page Top


一枚の特選フォト「海 & 船」

One Selected Photo "Oceans & Ships"

Back to: Top Page | 特選フォト「海&船」目次 (Ocean and Ship Photos) | ご覧のページ


    世界の有人深海潜水艇13隻の模型 [横浜みなとみらい21地区・三菱みなとみらい技術館館]


    1 「トリエステ号」[拡大画像: x29205.jpg]

    2 「ノーチル号」

    3 潜水艇13隻の模型展示

    何百気圧という超高圧で光のない暗黒下の自然環境にある深海には、果たして魚などの生き物が棲息しているのか、棲息することが 可能なのか。人類は一度も誰も見たことがなく、到達したこともない深海の生物相に、かつて長い間科学論争を繰り広げていた。 海洋生物学者らにとって積年の最大の関心事の一つであった。人類は自らの目で確かめるためにも有人深海調査潜水艇を建造し、 その論争に終止符を打つべく挑戦してきた。

    さて、横浜みなとみらい21地区の「三菱科学未来館」には13隻の有人深海潜水艇の模型が一同に展示され、その建造年や事績の概略など が紹介されている。人類によるその探究への挑戦の歴史の一端を俯瞰することができる。また、日本が誇るJAMSTECの調査艇「しんかい6500」 のほぼ実物大の模型が展示されている。

    1 ビービ―とバートンの「球形潜水器(バチスフェア)」
    ウイリアム・ビービ―とオティス・バートン(William Beebe and Otis Barton)は「バチスフェア(Bathyspere)」をもって 最大潜航深度923メートルを記録した。世界における最初の深海調査は米国生物学者のビービ―の潜水球「バチスフェア」による ものと一般的に言われている。

    2 「西村式豆潜水艇2号」(Nishimura-shiki Mame Submersible No.2)
    製造年は1935年、最大潜航深度は300メートル、船籍は日本。 実業家の西村一松が製作したもので、マニピュレーター、灯光器、水中電話などを装備した。本州と九州を結ぶ関門 トンネル建設の地質調査などで活躍した。

    3 「くろおしお号」
    製造年は1960年、最大潜航深度は200メートル、船籍は日本。 水中を自由に動ける「アンビリカル(へその緒)ケーブル(umbilical cable)」を使用した。
    [参考][英語]umbilical: n.[例えば、支援母船と潜水艇との間の電力、酸素などの]供給線; 連結物、繋ぐもの;  (umbilical cord)[潜水夫などの]命綱、[宇宙飛行士の宇宙遊泳などにおける]命綱.

    4 海洋科学フィクション小説上の潜水艦「ノーチラス号(Nautilus)」
    フランスのSF作家ジュール・ヴェルヌ(Jules Verne)の海洋小説「海底二万哩」 (science fiction novel "20,000" Leagues Under the Sea」(ネモ船長 Captain Nemo)に登場する架空の潜水艦「ノーチラス号 (Nautilus)」。

    5 「バチスカーフ FNRS 3」(Bathyscaphe FNRS 3)
    製造年・船籍:公式情報なし、最大潜航深度4,050メートル。物理学者オーギュスト・ピカールがベルギー国立学術研究財団(FNRS)の 支援で製作したもの。「FNRS2」は1948年の最初の無人潜航後に海面上で時化により大破した。その後同じ耐圧殻(たいあつこく)を 使ってフランス海軍が建造した「FNRS3」をもって、1954年に4,050メートルまで潜航した。
    * 別の文献によれば、オーギュスト・ピカールと息子のジャックがバチスカーフを製作し、1960年1月23日、マリアナ海溝のうちの チャレンジャー海淵の10,916メートルまで潜航したという記録を保持する。

    6 「ノーチル号」(Nautile)
    製造年1984年、最大潜航深度6,000メートル、船籍フランス。

    7 トリエステ号(Trieste)
    製造年の公式情報なし、最大潜航深度10,916メートル、船籍米国。

    8 「アルビン号」(Alevin)
    製造年1964年、最大潜航深度4,500メートル、船籍米国。 米国のウッズホール海洋研究所は深海潜水艇「アルビン」を1964年に建造したが、ガソリンに換えて新しい浮力材シンタク ティック・ファウムを用いることで、飛躍的に小型化することに成功した。当初アルビンの最大潜航深度は1,829メートル であったが、幾度かの改造を経て現在は水深4,500メートルまでの潜航を可能とする。
    * syntactic foam: n.ガラス気泡強化プラスティック.

    9 「しんかい6500」
    製造年1989年、最大潜航深度6,527メートル。1989年の公式試運転潜航で6,527メートルを記録した。2012年には通算1,300回の 潜航を達成した。建造以来最大の改造が2012年3月に実施され、船尾の主推進器を旋回式大型1基から固定式中型2基へ改造される など、その運動性能を向上させた。

    10 「ミール号」(Mir)
    製造年1987年、最大潜航深度6,000メートル、船籍ロシア。直径200mmの大型窓を装備し、もう一隻のミール号とともに2艇で行動する。

    11 「蛟竜」(こうりゅう、Jiadong, Jiaolong)
    製造・最大潜航深度ともに公式情報なし。2007年完成。報道によれば、2012年6月27日に7,062メートルの有人潜航を達成した。
    [辞典内の参考サイト]特選フォト: 中国有人深海潜水艇

    12 「しんかい2000」
    製造年1981年、最大潜航深度2,000メートル。日本初の本格的な有人深海調査船として完成した。日本周辺海域を中心に潜航し、 日本の深海研究の進展に大きく貢献した。本艇の開発によって培われた技術と経験は「しんかい6500」などの技術開発に活かされた。



    a b
    画像a・bは同館に展示される調査艇「しんかい6500」のほぼ実物大の模型。[拡大画像: x29222.jpg][拡大画像: x29223.jpg]

    [画像撮影年月日:2022.04.17/場所: 横浜みなとみらい21地区の「三菱みなとみらい技術館館」にて]


このページのトップに戻る /Back to the Pagetop


一枚の特選フォト「海 & 船」

One Selected Photo "Oceans & Ships"

Back to: Top Page | 特選フォト「海&船」目次 (Ocean and Ship Photos) | ご覧のページ