一枚の特選フォト「海 & 船」


One Selected Photo "Oceans & Ships"

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引き揚げ船の船底(ふなぞこ)を再現した 実物大ジオラマ

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画像1は東京・西新宿の「平和祈念展示資料館」に展示された実物大のジオラマ。 「引揚船の船底で」と題するこのジオラマは、1946年(昭和21年)7月に旧満州南部の港湾都市・葫蘆島(ろことう)を出港して福岡県の 博多港に向かう引揚船「白竜丸」の船底の様子を再現したものである。旧満州からの引揚げは、ソ連軍が撤退を始めた1946年(昭和 21年)3月の翌月から始まった。葫蘆島は渤海湾北方の湾奥にある港湾都市である。引揚者はその葫蘆島に辿り着くまで長く厳しい 逃避行を余儀なくされた。引揚者のやつれた姿の中にも、日本に帰れるという安堵が漂っている。中には身内の遺骨を抱える引揚者も いて、故国の港に降り立つのを待ちわびている。船内ではご飯、味噌汁、沢庵が振る舞われ、当時の日本人には大変なごちそう であったと、ジオラマの説明パネルに記されている。

1946年以降葫蘆島から最も多くの引揚船が日本へ向けて出港した。因みに、旧満州国・大連からの引揚者は 1,218,646人、北朝鮮からは  297,194人、韓国からは 416,110人、中国本土からは 495,723人、千島・樺太からは 277,490人であったと館内パネルに記される。 また、終戦に伴う引き揚げ総数(邦人・民間人)は 3,188,085人であった。

[参考]館内には「シベリア抑留者 舞鶴入港引揚船 一覧表」が掲示され、船名、入港回数、引揚総人員が記されている。 合計回数は230回に及び、引揚総人員は 453,850名であった。因みに、「高砂丸」は20回入港し、38,933名を帰還させた。


引揚略史(参考資料:「平和祈念展示資料館」展示パネル等)
・ 1945年(昭和20年)9月2日、朝鮮南部からの引き揚げ第一船「興安丸」(こうあんまる)が釜山より舞鶴の仙崎(せんざき)に入港する。 同年9月25日、復員第一船「高砂丸」が中部太平洋のメレヨン島より別府に入港する。

・ 1946年(昭和21年)4月、旧満州からの引き揚げ第一船が博多に入港する。10月までに、旧満州にいた民間人の約100万人が 葫蘆島の港から日本へ帰国する。

・ 1946年5月~6月、日本政府の要請により、米国が抑留者の送還につきソ連と交渉を始める。
・ 1946年12月、ソ連本土からの最初の引き揚げ第一船「大久丸」(だいきゅうまる)と「恵山丸」(えさんまる)が約5,000名の抑留者 を乗せナホトカより舞鶴に入港する。
・ 「ソ連地区引揚に関する米ソ協定」の調印により、抑留者の帰国が本格化し、1950年(昭和25年)4月までに 約47万人の抑留者が帰国を果たした。

・ また、1946年12月、朝鮮北部からの引き揚げ第一船「永禄丸」(えいろくまる)が興南(ふんなむ)より佐世保に入港する。

・ 1949年(昭和24年)10月、中華人民共和国成立。中国からの集団引き揚げが約3年半中断される。1953年3月北京協定に基づき中国から の集団引き揚げが再開される。
・ 1956年(昭和31年)10月、「日ソ共同宣言」の調印。日ソが国交を回復する。
・ 1956年(昭和31年)12月26日、ソ連本土からの最後の引揚船「興安丸」が、約1,000人の抑留者を乗せてナホトカより舞鶴に 入港する。終戦から11年以上が経過していた。





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2. 引揚証明書: 舞鶴港に上陸・帰国した抑留者に発行された引揚援護局長名の証明書。裏面には「復員証明書」という赤い印字があり、復員証明も 兼ねていた。福井県・三田村治代氏。
3. キャプションには、上河邉長(かみこうべおさ)「ダモイ」と記されている。引揚船が間もなく舞鶴の木製桟橋に着岸しようと している情景が描かれている。
4. 復員兵の帰国の絵。キャプションには「帰国(舞鶴湾)(吉田勇氏 画/舞鶴引揚記念館提供)」と記される。

5 5. 旧満州・朝鮮半島周辺概略図 [拡大画像: x29108.jpg]

[画像1~5撮影年月日:2022.03.18/撮影場所: 東京・西新宿の「平和祈念展示資料館」/総務省委託]
* 所在地: 新宿区西新宿2-6-1 新宿住友ビル33階/電話: 03-5323-8709/都営大江戸線「都庁前」駅から徒歩約3分
1. [拡大画像: x29105.jpg]
2. [拡大画像: x29112.jpg]
3-4. 拡大画像なし


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