オランダ人土木技師イザーク・アンネ・リンドは明治初期に来日し、わが国の近代測量の基礎を築いた人物である。画像1は、彼の
功績を称えて、旧江戸川の堤防上に設置された記念碑である。同碑パネルには概略次のように刻まれている。
イザーク・アンネ・リンド(1848-1941年)はオランダのアーネム市に生まれた。1872年(明治5年)23歳の時に来日し、
1875年(明治8年)までの4年間にわたり活躍した土木技師である。リンド技師は、江戸川および利根川筋に水位標を設置し、
水位観測を始めた。また同時に、江戸川河口の堀江から利根川河口まで測量を行い、「清瀧神社」(浦安市堀江4-1; 旧江戸川から
分流する境川を少し先に進んだ川岸にある)境内に「水準標石」を設置した。そして、堀江水準標の零位を Y.P.(Yedogawa Peil)
とした。Y.P.は現在も利根川・江戸川の工事用基準面として使われている。
[参考]記念碑設置場所: 東京メトロ東西線の「浦安」駅から徒歩5分ほどの、旧江戸川に架かる東西線の「江戸川第一橋梁」から
100mほど下流の堤防上である。即ち、旧江戸川と境川との交点に建つ「境川西水門」(画像2の右に見える塔)のすぐ南の堤防上である。
同橋梁下には、老舗の船宿「吉野屋」の遊漁船専用の浮桟橋がある。そして、その「吉野屋」は画像2に写る橋梁のすぐ向こう側
(北側)の堤防脇にある。
「吉野屋」は山本周五郎の代表作「青べか物語」(昭和36年、文藝春秋社刊)に登場する船宿・千本のモデルとなった。
彼は1928年(昭和3年)夏からこの浦安に1年余り暮らしていた。そして、一時期この船宿に部屋を借りて、浦安の人情味豊かな人々
と交流していた。
[撮影年月日:2022.11.24/場所: 旧江戸川と浦安・境川との交点にある「境川西水門」のすぐ南の堤防上]
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