一枚の特選フォト⌈海 & 船⌋
シンガポール海峡(3): 岩礁多き海峡を航行する大型船
シンガポールの大型クルーズ客船ターミナルのあるハーバーフロント (Habour Front) から国際高速フェリーで
インドネシアのバタム島 (International Ferry Terminal Batam Centerがある地区) へ向かう。セントーサ島の南西岸に
沿って航行し、間もなくシンガポール海峡の通航分離帯を斜めに横切るタイミングを推しはかりながら高速航行しているところである。
数隻の大型コンテナ船、中型貨物船が行き交う。右舷にはいくつかの岩礁が顔を覗かせている。標識が立つが、左舷・右舷を示す側面標識なのか、
孤立障害標識なのか、他の標識なのか判然としない。まもなくマラッカ・シンガポール海峡の中でも最も狭隘な海域にさしかかる。 マラッカ・シンガポール海峡の水深について、マラッカ海峡北西部の出入り口付近では水深約1,000mである。マ海峡を南東方向に 進むに従って水深は徐々に浅くなる。スマトラ島ジャンブアー岬 (Tg. Jambuair) 沖合では水深100mほど、マ海峡南東部半分では おおむね50m未満であり、浅瀬・岩礁が多く存在する。 シンガポール海峡においても多数の小島、浅瀬、岩礁が存在する。また、その水深は船舶の主要通航分離帯においておおむね 23m~40mといわれる。 海峡には水深21~23mの浅瀬がいくつか存在し、喫水15m以上ある深喫水線の大型タンカーはその通航のタイミング等につき慎重な 検討が求められることになる。なお、海峡を通航できる船の最大サイズはマラッカマックス(Malaccamax)と呼ばれる。 因みに、喫水18m以上の大型船舶はシンガポール海峡を迂回する代替航路を検討せざるをえなくなるという。 スンダ海峡 (Sunda Strait、スマトラ島とジャワ島の間) が考えられるが、平均水深30m程度で、海底地形は不規則にして、激しい潮流などの ため通航には適さないので、バリ島とロンボク島の間にあるロンボク海峡 (Lombok Strait) が用いられる。 ロンボク海峡の水深は100m以上あり、超大型船の通航も可能である。東京湾とペルシア湾との距離は、マラッカ・シンガポール海峡 経由では6,590海里、ロンボク海峡経由では7,580海里である。船速15ノット/時(1.852km×15)とすると、片道約3日弱の経費が余分に 生じることになる。
25万トン級スーパータンカー (VLCC) の場合、その満載吃水線は約20mである。従って、海象・海底地形などの諸要素を加味して
船底下のクリアランスに余裕をもってシンガポール海峡を通航するには、満潮時を待って通航することが必要不可欠であるが、航行安全上
先ずはロンボク海峡への迂回が第一義的に選択されよう。 |
1 1. シンガポール海峡の航路図。中央部の、東西にのびる二本の破線は船舶の通航分離帯を示す。セントーサ島は、 画像中央のサキジャン灯台 (Sakijang Light) のすぐ左上の逆三角形の小さい島である。その直上にある米粒大の島が、ブラニ島 (Pulau Brani) と呼ばれ、セントーサ島とシンガポール本島との間にあって、島のほとんどがコンテナヤードからなる。 [拡大画像: x24902.jpg]
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