一枚の特選フォト⌈海 & 船⌋
荒川の平方河岸と開平橋 (舟の橋)
現在の埼玉県上尾市平方(ひらかた)にあった「平方河岸」(ひらかたかし)は、荒川の渡し場があったところで、江戸時代から
大変栄えていた。岩槻と川越とを行き来する街道沿いにあって、通行人らは荒川の平方河岸において渡し舟に乗らねばならなかった。だが、
明治16年(1883年)には、橋の一部を水平に移動させて開閉し、船を通行させることのできる最初の平方開平橋が完成した。 (注) その橋の完成の5ヵ月前には高崎線が開通し、鉄道輸送が始まっていた。 [参考: 埼玉県立川の博物館、舟橋模型説明パネル]
模型が示す通り、10艘の平底の川船を一方の岸から他岸へ横列に並べ、その上に橋を渡して、人や荷車が通れるようになっていた。
手前の岸から二番目に位置し、橋桁の一部を載せた舟(の舳)が、その少し上流に打ち込まれた杭にロープで繋がれている。
船が通行する場合は、その舟の舳に括り付けた別のロープを川岸から引き寄せ、舟を90度ほど回転させ、その橋桁を川岸と平行する
くらいまで水平に移動させることによって、船に路を開き通行させる。
現在ではこのような舟の橋を見ることはないが、大洪水などで橋が流された時などには、このような方法で応急的に仮設橋を造ることが
あるのかもしれない。
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