一枚の特選フォト⌈海 & 船⌋
舵輪 (steering wheel)
舵を動かす舵輪は後部甲板上および前部航海船橋(の操舵室)内の二箇所に設けられている。通常帆だけで大洋を航海する場合
は、風と帆の状態を見ながら操舵できるよう後部に舵輪が設けられている。しかし、出入港時や狭水道航行時などでは、時に帆を
降ろして補助機関をもって機走する。このため、操船しやすいように前部の操舵室内に舵輪が設けられている。 舵は船首の向きを変える装置であるが、帆船での操船はむしろ帆の操作が主体となり、舵は帆の操作にあわせて取っていかなく てはならない。それゆえに風と帆の状態を見ながら操舵できる後部に舵輪が設けられている。 日本丸では、帆走時には、当直航海士の指示に従って後部舵輪の風上側についた風上操舵当番と、その反対側の風下操舵当番の2名が、 前者のリードで舵輪を回す。荒天時になって舵が重くなり二人では操舵困難になると、四人がかりになる。 直径約1.5mの舵輪を回すと、歯車、鎖、四分円型のコードラントなどからなる伝達装置を通じて舵が動かされる。 この舵輪を一回転させると舵は一度だけ動く。普通の動力船の場合には常用舵角15度、舵角一杯35度である。 ジグザグ帆走する場合、時に風上側35度から風下側35度まで短時間に70回舵輪を回すことになり、相当の力作業になる こともある。 [拡大画像: x22501.jpg]
[参考文献] 荒川博 「帆船への招待」 海文堂、昭和61年、74-75頁
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