一枚の特選フォト「海 & 船」
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南米 「イカダの海」
Photographed by Yoshitaka Ofuchi
掲載日: 1999年2月21日
イカダの残る海がある。 南氷洋から流れ出した冷塊は、やがて南アメリカ大陸の太平洋岸を赤道に向かって北上する。 赤道海流から、こぼれ落ちた暖塊も、大陸に沿って南下する。暖、寒二つの海流は、ちょうどペルー沖でぶつかり合う。 そして、海洋と大陸と大気の熱の収支バランスが、ぴたりと一致する穏やかな海をつくりだす。 そんな、べた凪の平らな海では、今でも昔ながらのイカダ漁がおこなわれている。 そんな、静かな海にも、近代化の波は押し寄せる。 「いちど便利なモノを使うとね・・・・」 エンジンを使った若者は、もうイカダには乗らないと、タバコをふかす年配の漁師。 燃料も、環境汚染も、乱獲の心配も全く無いイカダ漁に、ぼくは感心するのだが、 それは部外者の勝手な願望か。さすがに、イカダによる遭難は後を断たないという。 「あんた、日本人かい?」すごいね、日本のエンジンは壊れないし、強力だよ」 浜の男の誉め言葉に、「グラシアス」(ありがとう)と答えながら、ぼくは浜の風景を見ていた。 このイカダも過去の風物詩となる日が、そこまできているのかもしれないと。
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