一枚の特選フォト⌈海 ＆ 船⌋

韓国釜山の国立海洋博物館、そのユニークな建築と展示

国立海洋博物館は、釜山市街地にある「龍頭山」という小高い丘のすぐ眼前に浮かぶ「影島」という島の海岸沿いに立地する。 建物は単体にして総ガラス張りの様相を呈し、5、6階建てのデザイン性に富む巨大建築物である。中に入ると中央部 は5、6階上の天井まで吹き抜けとなっており、その大空間の広がりのゆえに開放感に溢れている。 最も目立つ展示文物は、李王朝時代に日本へ外交使節を運んだ朝鮮通信使船の木造復元船（縮尺1／2ほど）である。 併せて、通信使関連史料、通信使船を建造するための各種工具類、その船体構造模型などが展示されている。 子供たちへの配慮であろう、巨大な円柱状の魚類水槽（海中トンネル付）とタッチプールもある。また、鯛のような魚のロボット (人工魚) が泳ぐ小プールも設置される。 その他展示は盛りだくさんである：　各種の現代船や古い韓船の模型、造船関連模型、発掘された古代カヌー、 海運・港湾関連(コンテナヤードなど)の模型、航路標識パネル展示、救命関連器具、古地球儀や天球儀などの展示。また、 豊臣秀吉水軍と戦った亀船の模型、秀吉軍船を撃退した韓国の国民的英雄・李舜臣将軍の史実などの展示。 ウナギ・タコなどの捕獲用漁具、延縄・旋網・トロールなどの漁具模型、各種沿岸定置漁法の模型、海女潜水漁関連の 漁具や史料、製塩模型、漁村の伝統的な祭りや文化的史料の展示。また、海洋調査研究関連機器の展示の他、深海底鉱物資源関連では、 熱水鉱床の大型ジオラマ、マンガン団塊採鉱システムの模型、団塊の標本、国際海底機構からの公海資源鉱区の取得証明証 などが展示されている。 さらに、韓国の海洋管轄海域、南極大陸研究体制や観測状況、北極研究などに関する展示、温暖化による北極海の海氷溶融による北極航路と スエズ運河経由の南航路のルートの距離比較半球図、「海洋強国」をめざす政策パネル展示、古代における東アジア海域での貿易・文化交流史、 海軍と艦艇、韓国コーストガード関連の展示など、展示文物は多岐にわたっている。 正面入り口脇には潜水調査艇(実物)が展示されている。なお、入場料はすべて無料である。 [画像撮影: 2016.9.15 韓国・釜山、国立海洋博物館にて][拡大画像: x27393.jpg]