一枚の特選フォト⌈海 & 船⌋
キューバの海と文豪ヘミングウェイ(4)/海洋小説「老人と海」 [キューバ]
首都ハバナ旧市街のフエルサ要塞(Castillo de la Real Fuerza)や市立博物館 (Museo de la Ciudad 旧総督官邸) のすぐそばにある
アルマス広場 (Plaza de Armas)。広場にはたくさんの露天商が並ぶ。多くは古書を並べている。画像は、ある露天商の書架で
見つけたヘミングウェイの小説⌈老人と海⌋ 2冊(スペイン語版: El Viejo y el Mar)である。右側の本は1976年版、左側のは
1952年*に出版されたものである。 * ⌈老人と海⌋が初めて出版されたのは1952年であり、ノーベル文学賞受賞が1954年のことであることを後 で知った。画像の1952年版がスペイン語での初版本であるのか、露天商に尋ねるのを失念した。 フロリダのキーウェストからハバナに移り住んだヘミングウェイは、定宿にしていた旧市街のホテル・アンボス・ムンドス (511号室) を引き払い、 ハバナの南東14㎞ほどの郊外のサンフランシスコ・デ・パウラで買い込んだ邸宅へと移り住んだ。それは ⌈フィンカ・ビヒア⌋ (Finca Vígia; 望楼のある別荘の意味) という名で知られる。 彼はここで⌈老人と海⌋を執筆した。その着想を得たのは、漁村コヒマル (Cojímar; ハバナから東方へ車で2、30分) の漁師が巨大カジキを釣り上げたという実話からという。 [参考] フィンカ・ビヒアは、彼が1961年に世を去った後、遺言に基づきキューバ政府に寄贈され、現在はヘミングウェイ博物館となっている。 邸宅敷地内には愛艇⌈ピラール号⌋が保存されている。愛艇はかつて⌈老人と海⌋の舞台となったコヒマルの港に 停泊していた。キューバ人グレゴリオ・フエンテスが長くその船長を務めていた(彼は2002年104歳にて世を去った)。
サンチャゴが舟上で約束をつぶやいた⌈コブレのマリア様⌋へのお参りを果たしたとは、⌈老人と海⌋では読めない。 他方、ヘミングウェイはノーベル賞の受賞後、メダルをその教会に寄贈した。主人公が果たせなかった約束をあたかも彼自身の手で 果たすかのように寄贈したのであろう。 彼自身が⌈コブレの教会⌋を訪れ寄贈したという記録はないという。⌈コブレのマリア様⌋はキューバの漁師にとっては 守護神そのものとされている。 ヘミングウェイはノーベル賞の授賞式には出席しなかったが、彼はフィンカ・ビヒアで小さな祝会をもった。そのスピーチでは、 ⌈老人と海⌋はコヒマルの仲間の助けにより発想が生まれ書き上げたものである、と挨拶してキューバ人と歓びを分かち合ったという。 [2015.2.2-17 カナダ&キューバの旅/ホテル・アンボス・ムンドス展示室 (511号室) 訪問 2015.2.6/2015.4.9 記] [拡大画像: x26691.jpg] |