漁業技術の画像集・FishTech
著作者/水産大学校名誉教授・理学博士 前田弘
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第 6 部 25-04 アルゼンティンの水産研究所 アルゼンティンには、水産に関する援助が3つの大きな事項に関して行われた。第1はPuerto Deseadoにおける 岸壁の延長工事である。これは日本から見れば水産に関する援助であるが、港湾局の管轄なので、アルゼンティン としては水産に関する援助にみなされない。次は国立漁業学校の建直しである。しかし、この学校は海軍の管轄 なので、これも正式には水産に関する援助に入らない。第3番目はINIDEP(Instituto Nacional de Investigacion y Desarrollo Pesquero、直訳すれば「水産に関する研究と発展に関する国立機関」となるが、適訳は国立水産 研究所である)の建直しに関する援助である。この機関は、アルゼンティン唯一の水産と海洋学に関する研究 機関である。中南米におけるこの種の機関の特徴として、海洋生物学に関する研究が主体となる。軍政時代と、 その後の極度の不況のために、建物は痛みが烈しく、研究資材はほとんどなかった。 国立漁業学校に対する協力が終わり、その後、それを利用した3国研修が行われるようになった頃、この研究所 はやっと日本の協力によって建てかえられた。厳密にいえば、これが水産に関する唯一の大規模な協力になる。 これは、軍政時代の末の1983年に最初に訪問したときの写真である。したがって、日本が協力する前の写真であり、 現在この建物はない。 No.1とNo.2は本館の写真である。海水浴場と町外れの海軍基地との間にあった。本来、ダンスホールとして 建てられたものを市から借りて、Mar del Plata大学その他の合同海洋生物学研究所であった。それを水産研究所 として利用していた。
No.1
No.2 漁法と加工に関する部門は、本館に入らないので、漁港の沿岸漁船の船溜りと中型船の岸壁の間にあるプレハブに 入っていた。No.3はそれを外から撮った写真で、No.4は漁法部門、No.5は加工部門である。
No.3
No.4
No.5 この研究所には2隻の調査船がある。その1隻のDr.Eduardo L. Holmberg 号を使った底延縄の試験操業に対して、 海外漁業協力財団が援助を行った。No.6からNo.12まではその船の写真である。
No.6 No.7に写っているマストの付根には北欧で巾着網を揚げるときに使われるトリプレックスが見られ、種々の 漁労用の装置がある。トロールウインチのコントロールルームは船橋と分離している。
No.7 No.8からNo.10までは、その船橋の写真である。 底延縄を揚げる際には、船長は船橋の右端に位置し、縄が揚がってくる方向を注意しながら、投入したときと そのときの魚探像を比較して操船する。これらの画面の中央に見られる魚探はそのために増設したものである。 船首は左である。したがって、この写真の正面は右舷になる。 底延縄操業用に増設した魚探は湿式ダブル幅の記録紙を使い、この型式は海外ではめずらしい。
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[No.8: ft_image_6_25_04/image015.jpg]
No.9
No.10 船橋のやや前方の右舷側に底延縄用のラインホーラを付けた。 前方に着岸しているのは、国立漁業学校の練習船Luicito号である。
No.11 船内の漁獲物処理甲板である。燃料不足で稼動していないが、整備は行届いていた。
No.12 この試験操業に先立ち、底延縄の操業法について2日間に渡ってINIDEPで講演を行った。出席者の大部分は生物 学者であったが、熱心に聞いていた。出席者の中には女性が目立つ。 公務員は給料が安く、男性にはあまり歓迎されない職業である。男性は生活のために他の職業を選び、従って 研究者には女性が多くなる。 研究者の他にも船舶の職員も熱心に聞いていた。
No.13
No.14
No.15
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No.17
No.18
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